社会福祉法人希誠会 風のまちこども園 NEWS&TOPICS!!
保育士の処遇改善にかかる問題点
2022-02-14
保育士等のエッセンシャルワーカーの所得が、他の職業に比して低いとされていることから
『3%にあたる9000円の賃金改善』
という施策が提示されました。
シンプルにそのまま実現できればよい施策ですが
実際には、実施不可能な園、実施しない園が相当数あると考えられます。
現状の施策の現場レベルでの問題点は次の通りです。
・保育士の給与改善であるのに『子供の数』の金額
⇒少子化地域は一人9000円の補助は来ない
・補助を受けるためには、法人が更に2/3にあたる額を負担する必要がある。
⇒給与改善ではなく、園の出費が増大する
少子化、人口減少に向かう日本において
多くの福祉法人は、次のことを考えています。
1.これから先の職員の雇用を維持する
2.地域の資源としての福祉施設の存続
そのためには、かなりの長期的視点が必要です。
『目先の給与改善で園の財政が悪化する』
『長期的な地域の福祉の継続は求められる』
という矛盾する2択に追い込まれます。
また
『国家公務員の給与に対する人事院勧告が引き下げられた』
ということを理由に、
『保育の公定価格が引き下げられる』
ことが同時に盛り込まれているのです。
つまり
もともと給与として分配されていた額は、減少するのです。
つまり、次のようになります。
・子どもの数に応じた9000円は補助するが、もともと配る金額は下げる。(その分も補助に置き換えるから、給与を下げないことを要件とする。)
・施設負担をしないと、そもそも補助もしない
根本を改善せず
一時的な『補助金』で対応するのは、
『補助金終了』
となれば、それでおしまいです。
これは、処遇改善ではありません。
また
『国家公務員の給与が減額になること』
と
『保育の公定価格が減額になること』
はまったく別の話です。
同じなのであれば、
人口減少に合わせて公務員や議員をもっと減らし
人口減少に比して給与を減額する理屈となります。
これでは
都市部の大きな園
資金に余裕のある法人しか長期的な改善不能です。
保育の雇用は、
国の施策の問題としての人口減少、少子化の中で、
子どもの人数に左右される大変不安定なものです。
根本解決としては、公務員化して、俸給表に沿った賃金を公定価格に盛り込むしかありませんが、
それだと採算が合わないからこそ民営化された経緯を踏まえて、『保育士の処遇改善』を論じる必要があります。
少子化、人口減少の中で、地域の福祉資源を維持していく意味では、
保育そのもののシステムを存続可能なものに変更する必要がある、と言うるでしょう。